ふぃ〜らぁ倶楽部 2019年6月・7月号

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社会、まちづくりに常に関心  今後は「青森の元気」応援します

三上真史さん(30歳、青森市出身、弘前市在住、団体職員)

・プロフィール

青森山田高校 → 北海道教育大学函館校(函館市) → 弘前大学大学院(弘前市) → 自動車販売会社(青森市) → 雑誌編集者(東京) → 団体職員(弘前市)〔いまココ!〕

☆函館からフェリーで弘大へ  関心あるまちづくりを学ぶ☆

 小学校高学年の時、総合的学習で青森市役所を訪問してコンパクトシティなどについて教えてもらったことが印象に残っていて、まちづくりに関心がありました。教育大学の函館校に進みましたが、当時、弘前大学にいらした山下祐介先生の社会学、北原啓司先生の都市計画を学びたくてフェリーでゼミに通い、平川市や弘前市相馬地区などのフィールドワークにも参加。弘前大学大学院に進んで北原研究室に入りました。

☆人口減少進む村の調査に同行  出ていった人は戻らないのか?☆

 東日本大震災後の春、大学4年生になり、山下先生たちが発起人となった岩手県野田村の復興支援活動に参加しました。人口減少、高齢化が進む地域で、村を出た子どもたちは戻ってこないと思っている人が多くいました。でも、本当にそうだろうか?今はやりたいことがあって東京などにいても、帰るチャンスを探している人もいるのでは?そんな疑問を解決したくて大学院を休学し、首都大学東京に移籍していた山下先生を頼って東京に1年ほど暮らしながら地方出身の人に話を聞き、論文をまとめました。

☆地方の暮らしを取り上げる雑誌の編集者として現場へ☆

 青森の企業に就職しましたが、国がまち・ひと・しごと創生総合戦略を打ち出し、社会学分野で「田園回帰」に関する分析が進むなど、首都圏と地方における人の流れに注目が高まった頃でした。自分の関心はやはり社会的な人の動向にあったので、地方の暮らしや移住などを取り上げている雑誌編集部の求人に応募したところ採用され、東京へ。編集者として取材同行し、各地の現状や人に触れられた経験は貴重でした。多様性の特賞で、地域に入り込み多様なケアを実践するコミュニティナースの存在を知ったことは、自分の次の道を考えるきっかけになりました。

☆Uターンし、仕事にやりがい  青森の景色にうっとり☆

 編集の仕事で各地の様子を知るにつけ、気になったのは青森のこと。首都圏で開かれる青森関連イベントに通って青森つながりを広げるうち、Uターンしたい気持ちが高まりました。編集職を辞め、職業訓練として医療事務を学び、昨春、青森県内の地域医療系の団体に就職できました。地域に出向いて言葉を交わしながら、自分たち自身で暮らしや健康を守れる仲間を増やしていく仕事です。やりがいを感じるとともに、地域社会が抱える“病気”に触れている感覚もあり、覚悟して働かなければと思っています。やるべき仕事が次々見えてきて、飽きないですね(笑)。

 20代はやりたいことをやり、Uターンもできたので、30代では暮らしを固めたいです。岩木山の姿や道端の景色など、ささやかながら日々変わる青森の景色にうっとりしつつ、“青森の元気”を応援しています。

(取材・文;小畑智恵)

※写真は、昨年秋に参加した「平川市移住お試しツアー」での一枚です。このツアーでは問市に移住した人や仲間たちと交流の輪が広がりました。

食を通じた応援の次は、東京から地域へ人を連れて行く!

川野真理子さん(平川市出身、東京都在住、なみへい合同会社 代表社員)

・プロフィール

黒石高校 → NPO法人「キープラネット」設立(東京) →各地で講演、共著「インターネットと21世紀型女性の起業」発行 → ニュープラネット合同会社(後になみへい合同会社)設立 → 全国うまいもの交流サロン「なみへい」開店 → 「なみへい」飲食業を一旦閉店(7月から息子が起業し再開) → 地方に人を送り込みたい‼〔いまココ!〕

☆企業を目指す女性たちを支援するNPOを運営☆

 そもそも、首都圏の起業しようとする女性を応援するNPO法人「キープラネット」を運営していました。離婚し、小さな子どもを抱えていた時、自分には手に職がなく、名刺交換の仕方も分からず、企画書も書けませんでした。一人で勉強するうちフリーランスの女性が集まり、スキルアップを助けるMPO法人を作ることに。男女共同参画の波が起きていた時期でもあり、女性の意識やスキル向上などについて講演もさせていただくようになりました。

☆「りんご畑は継がせられない  故郷の現実にショック☆

 青森市商工会議所での講演後に女性たちと食事をした時のこと。「今はりんご畑も田んぼも子どもには継がせられない。お金にならないから、田畑を売って長男がいる千葉に引っ越そうと思っている」と聞き、ショックを受けました。聞くと、漁師なども含め、一次産業は元気がないとのこと。大好きな故郷の実業を初めて知り、自分は帰省する度に“いいところ”しか見ていなかった。東京から何とかして地方にお金を落とせないかと思い、「青森応援スイッチ」が入りました。

☆東京からふるさと起こし  飲食店で地域を応援☆

 キープラネット設立から10年経ち、役目を終えたと感じた時、次は故郷を、地方を応援したいと思い、支援者を募って合同会社を設立しました。「東京からふるさと起こし」をテーマにした飲食店「なみへい」を神田にオープンしたのが2008年です。まだ「地方創生」という言葉はない頃で、1カ月ごとにさまざまな市町村から仕入れた食材でコースメニューなどを提供することで地域を応援するビジネスモデルは注目されました。10年で150カ所以上の自治体を紹介する中でお客様も増え、メルマガやブログなどを通して首都圏から地方の情報を発信してきました。

☆「人を訪ねる旅」で地域の魅力発信を手伝いたい☆

 でも、1カ月ごとに地域が変わると目の前の地域がどんどん通り過ぎて行く感じで、どのくらい生産者さんや地域の役に立っているのか疑問に思うようになりました。お店の儲けを増やすことが本来の目的ではないし、築いてきたネットワークを地域のために活かしたくて、昨春、10年を機に飲食店に区切りを付けました。そして、プロジェクト型の地域支援として千葉県いすみ市や、故郷である平川市の首都圏でのPR事業をお手伝いしました。今年からは飲食店を息子に任せてフリーになり、自分自身が故郷との2地域居住を実現し、東京から地域に人を連れて行く事業をしたい!面白い人、素敵な人を訪ねる旅を通して関係人口や交流人口を増やし、地域の魅力を発信する役割ができればいいな。

(取材・文;小畑智恵)

※写真は、二枚とも「なみへい」で撮られたものです。今年2月、「なみへい」で津軽の母さんたちが作ったけの汁をメインにした「けの汁ランチ会」を開いたところ、県出身者、青森ファンの方々に大好評でした。